誰でも高い声がラクに出せるようになるって本当?
【正しいヘッドボイスを知るVol.3】

Vol.1からお話しして来た「ヘッドボイス」」ですが、その練習に取り組む上でとても大切なことがあります。

慌てず、まずは今回の記事を読んでから練習に取り組んでみて下さい。

ヘッドボイスを習得したい、磨きたいという方の「そう思ったきっかけ」でよくあると思われるものが、

「高い声を出そうとすると苦しい」

「高い声は喉が痛くなる」

「高音は声がひっくり返りそうで怖い」

というような「高音への恐怖心を克服したい!」という苦手意識のような感情が含まれる場合がと思います。

実は、その「苦手意識」も「ヘッドボイス」をわざわざ出せなくしている場合も多いのです。

つまり

「ヘッドボイス(もしくは高音)に対する意識改革」はとても重要

ということです。

たとえば、歌の場面以外でも皆さんはこれまでに様々な場面で簡単に無意識にヘッドボイスを出して来ています。

【シチュエーション①】
子供の頃からこれまでで、絶叫マシーンやお化け屋敷(昭和っぽいネーミングしか出てきませんでした)で驚きや恐怖のあまり「キャー!」「ギャー!」「イヤー!」など絶叫した経験くらい、ほとんどの方がお持ちかと思います。

絶叫にもパターンがいくつかあるとは思いますが、そのほとんどは「とても強く響かせたヘッドボイス」です。

【シチュエーション②】
屋外での大きな音楽イベントで会場全体が大盛り上がり!そしてステージにお目当てのアーティストがついに登場!会場もあなたも更にヒートアップして思わずスクリーム!「フォー!フォーーー!」

この時の高い声でのスクリームは「とても抜けの良いヘッドボイス」です。

【シチュエーション③】
寝不足続きのまま長時間のミーティング。やっと休憩タイムになって伸びをしたら我慢していたあくびが思わず出てしまった。
「ファーーーーァ」と鼻の奥の方で思わず高い音がなってしまった。

この時の高い音でのあくび音は「ラウドさせずに(叫ぶことなく)出せたヘッドボイス」です。

探せばまだまだ「無意識でヘッドボイスを出しているシチュエーション」は出てくると思います。

練習をする上で、覚えておいて頂きたいのは

『ヘッドボイスは誰でも子供の頃から色んな場面で出している(使っている)』

『Don`t scary Head voice ! ヘッドボイスは怖くない!(難しくない)』

『Head Voice is not painful !ヘッドボイスは苦しくない!』

ヘッドボイスに限らず全ての声は日常的に出して使っています。
出せないのではなく、「歌おう」という意識を強く持ち過ぎることで、身構えたり踏ん張りすぎたりと「わざわざ出なくなるようなフィジカルアクション」をしているから「鳴るもはずのも鳴らない」のです。

特にヘッドボイスの響きをつくれない(出せない)理由の多くは「ブレスが足りない(息が使えてない)」ということ。
緊張したり、気合が入りすぎたり、すると大抵の人は「呼吸」が雑(浅かったり、吐き過ぎたり)になります。

「さあ、そろそろあの高い音が連続する大サビだ!」

と気持ちもカラダも構えすぎて声がひっくり返った。。。そういう体験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?まさに呼吸の乱れです。

そして、結構多くの方が忘れているポイントがあります。

「息を吐かないと声は出ない」

ヘッドボイス含めボイトレ全般について、ここ近年情報過多ぎみで頭が混乱している方も沢山おられ「息を吐かないと声は出ない」という原理原則をすっかり無視しているという方も少なくありません。(私のところに初めてレッスンに来られる方の中にも沢山おられます)

『声は気管から吐き上げた息で声帯を振動させた原音を咽頭全体の空間で響かせた音である』

『母音(a,i,u,e,o)は全て咽頭全体の空間の形をコントロールして作る(声帯ではコントロール出来ない)』

『各音程はすべて響かせる位置(空間)が決まっていて、その位置(空間)に響きを移行出来ればその音程は正しく鳴る』

『音階ごとの位置に響きを移行させるのは、吐き上げる息である』

これら全て気持ちを楽にリラックスした状態なら普通に出来るアクションです。イメージとしては深呼吸をしながらハミングする感覚です。

そして、これらの発声アクションを全音域で自由自在に出来るようになるために徹底的にやるべき練習メニューの代表格が

『リップロール』です!

上記の4つのポイントを無視した状態のリップロールアクションは、発声トレーニングとしては全くとは言いませんが、ほとんど意味がなくなります。

『声を出す以前に息を吐くことを意識』
『どんな高音になっても、大声(ラウド)にしない』
『すべての音域がファルセットになってでも同じ音量に整える』

リップロールで最も重要なことは
『腹式呼吸(横隔膜をしっかり使った呼吸)で開き切った上・中・下の咽頭全体に息を吐くこと』です。

どんなに間違っても『唇周りをリラックスさせること』がリップロールのメイン目的ではありません!

ここでお伝えした正しいリップロールの練習がチェストからミックス、ヘッドへとスムーズに鳴らせることにつながります。

まさに「リップロールはキング・オブ・エクササイズ」と言われる所以です。

とは言え、

「さあ!あとは自分一人でやってみてください」という終わり方は、個人的にはあまりに無責任に感じてしまいます。

私自身、初めてロサンゼルスでのレッスンを経験して、その後2年間一人で日々練習し続けましたが「自分一人の自主トレのみではどうしても行き詰まる」という感想は否定出来ませんでした。 ましてや、ミックス?ヘッドボイスの音域は繊細で、響きの作り方を間違えるとベテランシンガーでも簡単にノドを痛めます。
(20代前半の私は指導者なしの自主トレと仕事の現場での我流のハイトーンを続けたことで声帯結節と声帯ポリープを二回経験しました。)

だから、私もトレーナーという立場になって20年以上たつ今も、今の師匠であるビリー・パーネルのもとを毎年のように訪ね、彼から直接のアドバイスと発声のチューニングを受け続けているのです。

先の『Vol.2』の中でも言いましたが、少しでも出し方を間違うと喉に大きなダメージを与える「ヘッドボイス」の響きをつかむ上で、リップロールというエクササイズでさえ「リアルタイムでその都度修正を入れる」ことはとても重要です。

ヘッドボイスもチェストもミックスもまずは「まずは自分でその声で実体験する」ところからが「それらの発声をマスターする」というゴールへのスタートラインです。

そのスタートラインとして、タプアの体験レッスン(発声診断)があります。
もちろん、様々なエクササイズメニューの中で「正しいリップロール」もきちんとお教えします。

直接タプアにお越しいただけない方もSkypeやZoomでのオンラインで体験レッスン受講可能です。

まずは「論より証拠」的な感覚でヘッドボイスを実体験してみてください!

タプアヴォイスアカデミー
Takayoshi Makino