高い声をラクに出す!高音が出る仕組みを徹底解説
【正しいヘッドボイスを知るVol.1】

いつの時代も「ハイトーンボーカル」は憧れの的となり、多くのボーカリストは「突き抜けるように高い声を出したい」という願望を持っていると思います。
私も例に漏れることなく、多感な中高生の頃からハイトーンボーカルに強く憧れ、色々と試行錯誤しながら歌ってきました。

しかし、20才を過ぎても「海外アーティストたちのハリのある高音を出したい」という願望に対しての解決策どころか「自分とその人達との違い」も「その原因(理由)」さえ分からないまま、半ば挫折的な気分で歌い続けていたのを今も鮮明に覚えています。

そして時は流れ、
1995年の夏、今もずっと親しくして頂き、当時から様々なサポートをして頂いてたKenji Sanoさん(ロサンゼルスに拠点を置く日本人ベーシスト兼音楽プロデューサー)のお世話で、世界的に著名なボイストレーナー、セス・リグス氏のプライベートレッスンを受けることが出来、その時にやっと長年の未解決案件であった「海外アーティストたちのハイトーン」を支える発声法を知ることができました。

そしてその数年後、現在当アカデミーのマスターティーチャーである「全米屈指のボイストレーナー・ビリーパーネル氏」との出会いと彼の指導によって、更に細かな声に関するテクニックとメカニズムを学び「日本人シンガーと海外シンガーのハイトーンの決定的な違いとその原因」そしてその解決ポイントを知ることができたのです。
(※ビリー・パーネル氏:グラミー受賞シンガーTori Kellyをはじめ数多くの実力派メジャーシンガーのボーカルコーチをつとめる全米屈指のボイストレーナー)

両氏との出会いと教えの中で、様々な声の響きを学びました。その中の一つが「ヘッドボイス」

「高い音階(ハイノート)」という大雑把なくくりではなく、あくまでも

「ヘッドボイス」

です。

ということで、
今回は「ヘッドボイス」について記述していきますが、
本題に入る前に、個人的に思うことを正直に申し上げると、、、

そもそも【声の出し方・鳴らし方を、文章や動画を見聞きさせるだけで、その相手に発声を習得させる】ということ自体、情報を伝える側にも、受け取る側にも、ともに無理難題を強いる行為だと思っています。

なんとか文章化してほしいというオファーをこれまでも何度も頂いてきてますが、私の心境としては、まるで、

「私は7番アイアンさえ振ったことがないゴルフ初心者ですが、初心者向けゴルフ入門みたいな解説本(動画?)だけで、ドライバーショットを真っ直ぐ打つことは可能ですか? 解説本や動画をどれくらいの期間見続けたらドライバーでナイスショットできますか?」

という質問を受けたような気分になります(笑)

ゴルフをはじめ何かしらのスポーツ経験がある方や、お優しい方ならご理解頂けるかと思います。

しかし、すでにトレーナーのもとでボイストレーニングのレッスンを受けたことがある、現在受け続けている、という方にとってはレベルアップの大きなヒントになる内容かと思いますので、個人的に思うところは抑制し、ヘッドボイスについて書いていきます。

くれぐれも、ボイトレ未体験~初心者の方は「これを読んだら正しくヘッドボイス(全ての発声に通じます)が出せるようになるんだ!」というような期待は一切持たずに読んでください。
ただ、「これからトレーナーにしっかりついて正しくボイトレを始めよう!」とトレーナーについてボイストレーニングを始めれば、数ヶ月後、数年後、この内容がどれほど重要な目安になるかということを実感する日が来るはずです。

ではまず、ヘッドボイスを正しく響かせるために押さえるべきポイント、ヘッドボイスを響かせるまでのアクションを書き出します。

まず、声の音域・音色種別にはチェスト・ミックス・ヘッドの3つが存在する。
※地声、裏声の言い方と概念は日本人独特の種別の言葉(ロサンゼルスのレッスンでは全く通じませんでした)    

全音域はノドを開いた状態(オープンスロート)が絶対条件。

低音→高音へと音程を上げていくとすれば、
チェストのまま引っ張り上げて音階を上昇させるのではなく、
全開になった全咽頭に向けて横隔膜からの圧力で息を吐き上げるように声を鳴らしはじめ、
音程の上昇に合わせて響きの位置が上昇していくことを背面(背中、首筋、後頭部)で感じるようにする。

音程を上昇させて行くときの2つのつなぎ目をどれだけスムーズに出来るか(響きを混ぜられるか)は、低音域から中音域に差し掛かる切り替えポイント(1st.ブリッジ)までの喉の開き具合とブレスの量が肝となる。

中音域のミックスボイスから高音域への切り替えポイント(2nd.ブリッジ)で上咽頭に響きが移行するように常にソフトパレットは上げておく。

この②~⑤のアクションの流れを崩さないように

低音から高音まで音程を一切息を途切らせずに、無段階(音のつなぎ目が聞き取れない状態)で声を出し、頭頂部(ヘッド)の共鳴に移行させる。その音声の響きが「ヘッドボイス」と呼ばれる響きになっている。

【追記】
女性のヘッドボイスの目安音域はF4~G5、男性のヘッドボイスの目安音域はB3~G4

という感じです。

やはり文章化すると一般的には非常にわかりづらいですね(笑)

とにかく、上記の内容がヘッドボイスの出し方の基本的な流れになります。

正しくヘッドボイスの響きを出せている時の体感としての目安は

「ノドへの負荷」「ノドが締まるような苦しさ」はほとんど感じません。

というよりも

「ノドが締まるような苦しさを感じた段階で、すでに声の出し方を間違えている」と考えて「正しい発声が出来ているかどうかの判断基準」にすれば良いと思います。

正しい発声でヘッドボイスが出せている時は、ノドでの刺激や苦しさを感じることなく「頬骨や眼底の奥~頭部全体にかけて内部からの振動を強く感じる」はずです。

ヘッドボイスにおいても

【発声の絶対的条件】として忘れてはいけないことは

「常にノドは締め上げない。アゴも舌も力まない」

「どんな高音になっても、大声(ラウド)にしない」

「出来るだけすべての音域の音量を整える」

そして、忘れてはいけない大切なことは

「どんな曲を歌うためにヘッドボイスを出すのか?」

「曲(フレーズ)それぞれに対して、ヘッドボイスの強弱をどう付けていくのか?」

あなたがヘッドボイスという響きをマスターしようとする根本的な理由です。

しっとりとしたR&Bバラードでいきなりハードロック調の高音圧で硬質なヘッドボイスなんかは使いようがありません。
逆に、テンポが速いハードロックの曲に合唱団のソプラノパート的なヘッドボイスは求められないでしょう。

そう、ヘッドボイスと一言で言っても、バリエーションがあるのです!

そのバリエーションの種類については次の記事にてお話しします。

それでは!

タプアヴォイスアカデミー
Takayoshi Makino