ボイストレーニングで英語の歌を上手に歌う:ノドを開く練習の重要性

「英語の歌を上手く歌えるようになりたい!」

ボイストレーニングを受ける方の中には、こういうリクエストを持っている方もおられますし、私がレッスンを受け持たせてもらっている方々の中にも結構おられます。

いきなりですが、良いボイストレーニングをきちんと受ければ、英語発音は格段良くなります。当然、「英語の歌(洋楽)」も上手く歌えるようになります。

もちろん「英語の歌(英語の発音)」が上手くなるためには、発音の仕方だけでなく「英語発音を聴き取る力を上げる練習」も必要なのですが、「聴き取る」という部分については別の機会に見送るということで、今回は「発声・発音」を主においた

「洋楽(英語の歌)を上手く歌うためのポイント」にテーマを絞ってお話ししてみたいと思います。

私の経験上、大きく5つほどのポイントがあるのですが、
まず「何はなくとも」というポイントは、

「ノドをひらく」

これは、ボイストレーニング全般においても重要なポイントであり、洋楽を歌う上でさらに重要です!

すでにお気づきの方もおられるかもしれませんが、当アカデミーHPのトップページ中段あたりに「カラダを楽器として扱う発声」と題して載せている3項目。

その中の1つ目の項目は

「オープンスロートで歌えていますか?」

です。

英語表記で書くと「Open Throat」、つまり「喉をひらけ」

「Open Mouth:口をあけて!」ではなく、あくまでも「Open Throat:喉をひらけ!」です。

日常の会話や歌唱全般においても、
人と比べて

  • 声がかすれやすい
  • すぐに喉が痛くなる
  • 音域が狭い

というような方にとってオープンスロートは発声上かなり重要です。
そして洋楽を歌う、つまり英語発音で歌う場合はさらに重要です。

「ノドを開いて発声することが洋楽の歌唱を良くするポイントである」

と言って過言ではないのです!

少し解説すると。。。(小難しい表現になりますが)

「咽頭の全ての部分から口腔内までも、きれいに開き、その空間で響きを作る」という事です。

その理由として、

「声はどうやって作られてるの?」という根本的な部分ですが、

「声(音声)は、咽頭(のど)から口腔(口の奥)、鼻腔(厳密には上咽頭という空間)までの空間の共鳴させたもの」

つまり、誰もが耳にしている「声」とはこの共鳴音であり、声帯で起こす音はそのための源音(声と呼べる音ではない)でしかないのです。
※耳鼻咽喉科のドクターのような表現で恐縮です。

その共鳴音を最大限と言えるほど使って言葉を形成しているのが英語です。
英語発音は咽頭(上、中、下の3部位)と口腔の形を色々と操ることで、単語ごとの響きを作り言葉を形成しているのです。
つまり、英語は「響かせ方を操る」言語ということです。

だから、響きの小さな日本語の歌に比べ、英語の歌(英語圏の歌手の歌声)の多くは響きが太く大きく音域も広い、というわけです。

逆に、この共鳴空間を狭めたままで英語発音の歌を歌うと
「なんか英語の歌に聴こえない」
「洋楽のはずなのにカタカナの歌にしか聴こえない」
と言われるような歌になってしまうわけです。

発声全般の観点から言っても、ノドを開かないままの発声で歌うと、

  • 声の響きが小さくなる
  • 声の響きが濁る
  • 歌声が前に通らない(マイクに乗りにくい)
  • 中音域から高音域の境目で声が詰まる(or ひっくり返る)

日常の会話であっても、

  • いつも鼻にかかった(鼻づまりのような)声になる
  • 話し声が小さい
  • カ行、ガ行、ナ行、タ行、マ行などの滑舌が聞き取りにくい

と、程度によりますが、聴く側にとって聴き取りにくい歌(声)になります。

この声の出し方が私がレッスン中によく指摘する、「ノドを締め固めている」という状態の発声です。

そうならないためのポイントとして、まずはとにかく「ノドを開こう」ということなのです。

「ノドを締め固めている」状態は日本語独特と言われる『声帯に力を入れて母音を作ろうとする発声(発音)』なので、英語の発音(サウンド)を作る『息を使って 響きを作る発声(発音)』とはかけ離れた音(声)になり、そのまま洋楽を歌っても英語のサウンドには聞こえないのです。

また、この状態のまま無理に英語っぽく歌おうとしつづけると、力みが更に強くなり、最終的にはノド(声帯)を痛めるケースも出てきます。

洋楽を上手く歌うどころか、邦楽さえも上手く歌えなくなりかねません。

とは言え、英語を母国語として暮らしている欧米人であっても「歌を歌うとノドを締め固めてしまう」という人は沢山おられます。
ですから、欧米人シンガーであってもボイストレーニングの最初の第一歩として「ノドを開く」ためのエクササイズを繰り返し行うのです。

※タプアのマスターティーチャーであるビリーパーネルも現地のレッスン生に対して、ウォームアップのようにノドを開くエクササイズは行います。

タプアの生徒さんの中にもインターナショナルスクールに通い日常的にネイティブ発音の英会話ができる方が数名おられますが、欧米人と同様に「ノドを開いた状態でどんな音階も音域も歌えるように」というエクササイズを繰り返し取り組んでもらっています。

もちろん、ノドを開いて声が出せるようになっただけでは、その声は「音の輪郭がハッキリしていない声」でしかありません。

それをしっかりした歌声にするために「ノドを開いた状態を保って話し声(歌声)を作る」という次の段階のレッスン、そしてまた次の段階のレッスンと『良い歌を歌える発声のためのエクササイズ』をこなして行くことが、まさに本当のボイストレーニングです。

「英語の歌が上手くなりたい!」というのであれば、まずは、

「ノドを開く練習」

「ノドを全開にした状態で声を出す練習」

が英語の歌を上手く歌えるようになる基本中の基本

として取り組まれることをおすすめします。

もちろん、取り組む上で「正しい英語の響きになっているのか?」「きちんとノドを開いて発声できているのか?」の判断を自分だけでは出来ないという方が出てこられると思います。

未体験の取り組みであればなおさらです。

まさにそのような部分を客観的かつ正しい判断ができる目と耳で的確に指示し、正しい響きを導き出し、自分の声で実体験させていくことが、私たちボイストレーナーの使命とも言える役割です。

あなたの身近に信頼できるボイストレーナーがおられるなら、独学にこだわらずぜひ一度は『自分の英語発音と洋楽の発声』について診断してもらうことが「英語の歌を上達させる」大きな最初の一歩になるはずです。

身近にそのようなトレーナーがおられないという方は、ぜひ私たちタプアヴォイスアカデミーの体験レッスンで「英語の歌の上達」を目的に発声診断を受けてみて下さい。直接タプアにお越しいただくリアル対面式だけでなくSkypeやZoomでのオンラインでの発声診断(受講)も可能です。

「英語の歌はもちろん日本語の歌まで良くなった」という成果も実感していただけるはずです。

タプアヴォイスアカデミー
Takayoshi Makino