【英語の歌の上達法 Vol.2】舌の脱力
舌を正しく扱えば洋楽はもっと上手くなる

英語の歌を上手く歌うための発声ポイントはいくつかありますが、かなり重要なのが【舌】の扱い方です。

日本人は歌を歌う際、「舌の使い方」に対して無関心になりがちで、ボイストレーニングを受けている方であっても英語の歌を歌った途端、

「変な巻き舌になる」

「巻き舌にしてはいけない時も舌を巻いてしまう」

「口の奥で舌が団子のように縮み上がっている」

このいずれかのパターンにハマるケースが非常に多いです。
そして、その結果「英語っぽいけど、なんか違う」と思われます。

英会話の場面でも同じで、

「どうしてもカタカタみたいに聞こえる」

「欧米人に聞き取ってもらえない」

これも舌の扱い方が原因である場合が多いです。

どうして、こんなことが起こるのか?
そのほとんどの原因は、

「声を出すときに舌に力みが入ってしまう」

ということが原因です。

ここから、その解決策についてお話ししようと思いますが、

まず先に、ぜひ押さえておいていただきたいポイントがあります。それは、

母音(日本語ではアイウエオ)の発声で舌を使うことはありません。(R発音が入 る長母音は例外です)

ということです。
にもかかわらず、母音を発音する最中に変な舌の動きをさせたり、舌を宙に浮かせたりしてしまうとどうなるでしょう?

答えは、 母音の音を決定づける口腔内の形が崩れてしまうので、違う言葉(サウンド)に聞こえてしまうのです。

母音は口腔内および咽頭内のフォーム(形状)によってそのサウンドは作られます。

母音の数が多い英語の場合(細かく数えると20以上あります)日本語以上に口腔内のフォームが母音に与える影響は大きくなります。

これは音階が上下しようと同じです。

口腔内の天井に当たる部分が「上アゴ」部分、そして床に当たる部分が「舌を含む下アゴ」部分と考えれば、

  • 舌が宙に浮く
  • 舌先が尖るほど細くなる
  • 舌が奥に引っ込み団子のようになる

というような状態がいかに口腔内の形をイビツにしてしまうのか?どなたでもお分かりいただけるでしょう。

舌が不必要に立ち上がったり丸まったりすると口腔内の形状が歪み、結果として母音の響きや音量を正常に作れず、英語本来の響きにならないのです。

さらに付け加えるとすれば、歌うという行為は、会話以上に、音階とリズムを細かく追いかける行為ですから、母音の発音を会話以上に正しくしなければ、声自体の音量も下がりがちになるので、無意識に声のボリュームを作ろうと「アゴ、ノド」周辺に力みを入れてしまい、結果として喉を締め固めやすくなり音域も狭めてしまいます。

  • 歌っていると息苦しくなる
  • ノドやアゴが疲れる
  • 邦楽で出ているはずの高音が出しづらくなる
  • 声が通らなくなる(声がこもる)

これらの原因も「舌が力んで固まっている=喉を締め固めてしまっている」ということがよくあるのです。

では、どうして不必要な時に舌が動いてしまうのか?(力が入ってしまうのか?)

理由は「舌の筋力が弱く、舌を正しく動かせない」からです。

そんな大きな筋力はいりませんが、自由に扱うためにはある程度の筋力は必要なのです。

力が弱いゆえに、
「ついつい全力で力みが入ってしまい、一度力が入ると瞬時に脱力しきれない」

そして、舌を動かすことに慣れていないために
「アゴを動かすと舌もつられて動いてしまう」

使わないから力が弱くなる、力が無いから力加減や動作コントロールを細やかにできないわけです。
まさに「暴れる舌」です。

英語発音はもとより英語の歌を歌う場合、舌は日本語発音以上に細やかに使います。

先にお伝えした母音はもちろん、

舌先の動きが重要な「R、L、TH」

舌の奥側の動きが重要な「K、G」

舌全体の力が必要な「T、D、N」

など、子音を作り出すにも正しい舌の働きが必要です

それだけに、歌おうとしたり話そうとした時に、舌の筋力が弱すぎると動きがついて行かず、舌をはじめノドも力みが入り硬直し、声自体を出しづらくなってしまうわけです。

英語の歌の上達を目指すならば、

まずは「舌を脱力させる=動かさない」ままで母音発声をすることに慣れてください!

英語独特の子音の発声はそのあとで十分です。

舌の位置を安定させて声が出せるようになるだけでも英語の歌はかなり歌いやすくなり、母音発音もサマになってきます。
もちろん、邦楽の歌も格段に良くなります。

余談になりますが、 ミックスボイスという声の種目名と同じくらい「リップロール」という練習方法も、今では多くの方に知られていますが、まずは上に書いた「舌先をしたの前歯の裏に付けたまま」という動きの練習が出来た上で「リップロール」に取り組む方が正しいエクササイズ成果が出ます。

そして、舌の動き(舌の力加減のコントロール)を良くするためのエクササイズとして、「タングトリル(巻き舌をしながら声を出す)」というエクササイズがありますが、タングトリルをご存知な(出来る)方は「出来るだけトリルの周期が速く細かくならないように」を意識してやってください。

トリルの周期が速く細かくなると言うことは「舌に必要以上の力みが入っている」証拠です。

リップロール、タングトリルは「とにかく舌をリラックスさせて」がポイントと覚えておくと良いでしょう。

※ロサンゼルスで「リップロール&タングトリル」を舌の位置まで指導され、以来25年以上ずっとそれらを毎日のようにやり続け、その通りに指導し続けている私がそう言い切ります。

今回の結論は、

舌の正しい扱い方が出来るようになると、英語の歌は格段に良くなります。

ということになるのですが、
舌先だけの問題ではなく「舌の奥(舌根)」や「舌の両脇部分」についてなど細か なポイントがあるのも事実です。

「きちんと英語の歌が歌えるようになりたい」

「海外シンガーのように舌を器用に扱えるようになりたい」

という方は、一人で試行錯誤し続けず、気軽にタプアの体験レッスン(発声診断)を受けてみてください。

現状のあなたの発声時の舌の状態などをチェックした上で、母音だけでなく、子音についての舌の正しい位置や使い方、その他具体的なエクササイズ方法も細かくレクチャーさせていただきます。 直接タプアにお越しいただくリアル対面式だけでなくSkypeやZoomでのオンラインでの発声診断(受講)も可能です。

是非、英語の歌の上達に向けて、ご自身の「舌のトレーニング」チャレンジしてみてください!

タプアヴォイスアカデミー
Takayoshi Makino