強い高音を出す為のキーポイントはチェストボイス

このサイト内の他のテーマ記事の中で「ミックスボイスを出すためにはチェストボイスが重要である」という内容をお伝えしました。

その内容を読んで頂いた方の中には、

「じゃあ、チェストボイスが重要だという理由は?」

という質問が頭に思い浮かぶ人も多いだろうと思います。

ということで、今回はそのチェストボイスについてお話しします。

ミックスやヘッドを含む全ての声の基盤となる部分なので、しっかりお話ししたいと思います。

チェストボイスという言葉が初耳だという人も居られるかもしれないので、まずはそこからお話ししましょう。

簡単に言えば
「チェストボイス=胸の辺りを響かせるような低い音域の声」とざっくりした感じで覚えて頂いて結構かと思います。

とは言え、ただ単に低い声を出せばチェストボイスが出せているというわけではありません。

チェストボイスを正しく聴き分け出せるようになるための順序として、少し「発声」という原点に話題を切り替えて話しを進めます。

基本的な良い発声の状態というのは、

広い音域を確保し、その全音域がノドの負担もなく、音量・音質も変わりなく、スムーズに音階の移動が出来る

という状態を指します。

そして、ボイストレーニングに取り組む上で、正しく理解し意識しておくべきポイントは

「声(日常で話す声も含む)はノド(いわゆる声帯)だけで作り出している音ではない」

「声とは、声帯で作られた振動音が咽頭全域、口腔内、鼻腔、胸部、頭部などで共鳴されたものを言う(通常耳にする声)」

ということです。

私的な究極論になりますが、
ボイストレーニングの主たる目的は「ノド(声帯とその周辺)をどう操るのか」ではなく、「声帯の振動音を、如何に自由自在に共鳴部分で大きくよどみなく響かせるのか」だと私は考えます。

そして、この「共鳴音、反響音、空間音」の有る無しが
『チェストボイスが出せているかどうか』の判断基準です。

トレーナーの立場から言うと、レッスンを開始してまず取り組むところは「その人の音域を広げる」ことではなく、

・ノドへの負担なく声を出せように
・どの領域でも音量・音質も変わりなく声を出せるように
・声をひっくり返らせずに音程を上下させられるように

ということをメインテーマに置きます。

これらが出来るようになれば、おのずと誰でも音域は広がるのです。

そしてそのアプローチの基本は、

①ノド周辺と下アゴをリラックスさせる

②『ノドを開く:オープンスロート』(共鳴部のフォーム:形)状態を作る

③リラックスして開いた共鳴部いっぱいに届くだけの息を吐いて(ブレスで)声を出す

です。

そして、この『ノドを開いた状態:オープンスロート』(共鳴部のフォーム)で響かせる中~低域の音声こそが『チェストボイス』です。

間違って頂きたくないのは、「響かせる=音量を大きくする」ことでは無いということです。

小さな音量の声でも「オープンスロート状態で息をたっぷり吐いて響かせた声」は出せます。

その代表的な声は、誰でも出したことも聴いたこともある声、『ため息』です。

チェストボイスがいかにリラックスした状態(条件の①の状態)の声で、大声でない響きなのか想像いただけると思います。

ノドを開かずに締め固めた状態のまま低い声を出そうとすると、多くの人は「息苦しさ」とともにノドが詰まり声が出せなくなるはずです。ある程度までは低音が出せても、ノドを開かないままだと声帯に対して必要以上の力が入ってしまうので、その後の声が出しづらくなります。

しかし、ノドを開いた状態であれば、たっぷりな量の息を使うことが可能となり、声帯の振動音が大きく開かれたノド(咽頭全域)の空間で反響し、息苦しさやノドが詰まる感覚もなく低い音階でもきちんとした響きある声が出るのです。

ではチェストボイスがどんな響きなのか?

分かりやすい曲や参考動画を添付します。一度聴いてみてください。

まずは、

[Official Video] Daft Punk - Pentatonix

つづいて、

【Bass Battle/UPGRADE】 Avi VS Tim VS Geoff (only low notes)

これらの動画の中で出している低域の声が、まさに代表的なチェストボイスの響きです。 (曲中のbassパートの場合、最初は少々聞き取りづらいと感じる方がいるかもしれませんが、何度も耳を傾ければ低域の響きが必ず聴こえてきます)

ノドを締めたままの発声ではこれらの響きや、ミドルCから2オクターブ下のC#などの低域音階は出せません。

では、ノドを締めたままの声とはどんな声になるのか?
その代表的な響きが、日本で一般的に「地声」と呼ばれる発声の状態です。

地声状態での低音の発声では、声帯や喉仏周辺への力みと緊張が出やすくなり、その状態で音階を上昇させていくと「張り上げるような声・叫ぶような声」になってしまうか、「突然、裏声に切り替える」という歌い方になります。

その結果、

「高い声だけ大きな声になって、ある一定の音階から下は音量が急に落ちてしまう」

「レコーディングやライブの際、声の音量がバラバラだよ、と音響エンジニアから注意される」

「低い音に戻そうとしたらピッチが合わない上に、声がひっくり返ってしまった」

というような歌唱になりやすいのです。
そして、そうなった多くの人は「音量のバラつきを無くそう!」「声がひっくり返ったり裏声を使わないようにしよう!」と考えて、より一層ノドを締め固めるアクションで音量と音圧を上げようとします。

そして、それを繰り返しすことは「ノドを痛めてしまった」「高い音が出せなくなった」「声がつぶれてしまった」などの音声障害につながります。

そうならないために常に必ず意識すべきは、「力まず、大声にせず、響かせる!」ということ。

個人的な意見を言えば、シンガーだけでなく、俳優、司会、という声を使う職業の方であれば、大切なノドを守るためにも誰もが意識すべき部分だと思います。

そして全音域をしっかり響かせるために押さえるポイントは

【チェストボイスを出せるオープンスロートのフォームと、そのフォーム全体を共鳴させるだけの息を吐くこと(ブレス)】

が、全音域の声をスムーズに出すための必須ポイントということです。

いかに、チェストボイスが出せるか出せないかが他の領域の発声に関わってくるか、チェストボイスの重要性を少しでもご理解頂けたなら嬉しく思います。

そして話しだけで終わらずに、自分も正しいチェストボイスを出せるようになりたいと思われたのであれば、私はじめ当アカデミーのトレーナーがいつでもお手伝いします。

体験レッスンを通して「チェストボイスの響き」を自分の耳とカラダで実体験してみてください。

自分のカラダと声で響かせて、初めて「知った!わかった!」になると思います。

きっとチェストボイスについてだけでなく、ボイトレや発声についての様々な疑問もたくさん解消できると思います。

もちろん、ご希望であればミックスボイスやヘッドボイスまでしっかりチューニングさせて頂きますよ。

ではまた。

タプアヴォイスアカデミー
Takayoshi Makino