音域を広げるコツは意外と簡単なんです

音域が狭い(高音もしくは低音が苦手)という悩みはほとんどのボーカリストが抱える悩みだと思います。

特に、高い声を出したいために、勢いをつけて張り上げるように声を出している方も多いと思いますが、結論から言えば、実はそれは全くの逆効果なのです。

「音域を広げたい、歌が上手くなりたい、よく通る声になりたい・・・」

さまざま望まれることへの練習に取り組まれる前に

「声はどうやってつくられているのか?」

という根本的なことを押さえておくことが大切です。

それは、

『声は、声帯で発生した振動音(原音)が、口腔、咽頭(上中下)、鼻腔で共鳴して初めて「声」と呼ばれるものになる』

(音域によって口腔内、鼻腔内で作られた音声が、首、頭蓋骨、胸部、など体の幾つかの部分にも伝わりその共鳴も声の質に影響を与える)

声は口の中、ノドの空間、鼻腔の空間が共鳴(響く)することで造られるのです。

つまり、『声帯で鳴った音だけではまだ声と呼べる音にはなっていない』というこ とです。

ということは、

  • 緊張でカラダをガチガチにしてしまう
  • 必要以上に口を大きく開ける
  • 声を一気に吐こうとする(シャウト)

というようなアクションをしてしまうと、声を完成させるための口やノド(咽頭)はじめ、首や肩やアゴなどに「力む=固める」という状態を引き起こしてしまい、その状態が声をつくるための共鳴部分の振動を止めてしまう(ミュートする)、つまり「鳴り始めた声を消す」ということになるのです。

多くの方は、高音域など歌おうとして声が出しづらくなると、

  • 高くなればなるほど、ドンドン「ノド(声)」を上に吊り上げよう、押し上げようとしてしまう
  • 高くなればなるほど、ドンドン「ノド」に力みを入れてしまう(絞めてしまう)
  • 高くなればなるほど、ドンドン声を大きくハリ上げてしまう

この全てが「声という共鳴音」の共鳴振動を止めようとするアクションになり、その悪循環に陥ると最終的には

『サビの高いところが出ない!(声が鳴らない)』となるわけです。

高音域は音の周波数(音の波の細かさ)が細かく速いですから、少しの力みが驚くほど声を出しづらくします。

では、どうすればいいのでしょうか?

もうお気づきの方もおられると思いますが、音域を広げるポイントは単純に

【力まずに声を出す】

ということです。

とは言え、そもそも「自分がどの程度、力んでいるのかよく分からない」という人も多いと思います。

しかし、どんな方も力まずに声を出している場面があります。

「普通におしゃべりしている」時です。

その感覚と歌っているときの感覚が近くなればなるほど「力まず楽に声を出している」というひとつの目安になります。

そして、もうひとつの目安は

【一曲ずっと同じ音量で歌えるようにする】

ことです。

正しい発声が未完成な方の多くは、先の例えに書いた通り『高い音のフレーズ(サビなど)になると声のボリュームが上がる』という歌い方になっています。

鼻歌を歌うように(小声で)サビの高い部分を歌うと「声が出る、歌える」というのであれば、本来あなたはその音は出せるということです。

だったら、そのボリュームで曲の最初から最後まで、大きな声にならないようにずっと同じ音量で(鼻歌っぽく)歌ってみると、「力まずに声を出す(歌う)」感覚を少しでもつかめるはずです。

その力加減に自分の体感も耳も慣れてくれば、普段「高いなぁ」と思っていた音が 意外と簡単に出せることに気づくはずです。

もちろん、この状態はあくまでも正しい発声のための「ノドを力ませずに声を鳴らす感覚をつかむ」というボイストレーニングの最初のステップでしかなく、マイクの前に立って歌うには未完成すぎる状態です。

しかし、この感覚を身につけることは、先々で『楽に力強いハイノート(高音)を歌えるようになる』ための重要な部分なのです。

何事も段階を踏むことは大切です。

この段階の大切さを歌以外のことでたとえるとすれば、

あなたが筋トレを始めたての初心者だったとしましょう。

トレーニング初日からいきなり高重量のウエイトを使ってトレーニングするトレーナーがいるでしょうか?

そんなことをすればあなたにケガをさせてしまうのは必至ですよね。

まずは、正しいフォームと動かし方を教えて、低重量のウエイトから日数をかけて少しずつウエイトの負荷を上げ、少しずつ複合的な動きを加えていく、という流れにするはずです。 ボイストレーニングもそれと全く同じ原理です。

段階を追ってボイストレーニングのメニューを進めていくと、最終的に

【シャウトすることなく力強い高い声が出せる】

ようになるのです。

ですから、まずは音域を広げるための準備として、

  • いつも歌っている曲を力まずに「おしゃべりしている程度(鼻歌レベル)」の音量で歌ってみる。
  • とにかくサビでハリ上げず、吊り上げず、力まずに、ずっと同じ音量で歌うようにしてみる。

それだけでも出しにくかった音が出しやすくなるはずです。それが元々あなたが出せるはずの音域の幅なのです。

そして、「声を絞り出す」というイメージで歌うのではなく、「声を響かせる」というイメージにフォーカスして歌うようにすれば、音域はもっと広がります。

私たちボイストレーナーの重要な役割は、まさにそのような部分を客観的な目と耳で判断し、適切な力加減で発声できるように導くことです。

あなたの身近に信頼できるボイストレーナーがいらっしゃるなら、是非『声を出すときの力み』を取り除くためのエクササイズや診断をしてもらうと良いでしょう。

もし、身近にそのようなトレーナーがおられないという方は、私たちタプアヴォイスアカデミーの体験レッスンの発声診断にお申し込みください。

当アカデミーの体験レッスン(発声診断)を受けられるほとんどの方が「ノドを力ませずに声を出す感覚」を体験されるのはもちろん、その場で音域がその場で音域が2~4音、人によっては1オクターブ広がる方が何人もおられます。

直接タプアにお越しいただくリアル対面式だけでなくSkypeやZoomでのオンラインでの発声診断(受講)も可能です。

是非一度、力まずに歌えるようになるためのエクササイズにトライしてみてください。

タプアヴォイスアカデミー
Takayoshi Makino