シンガーvsミュージシャン?(後編:1.8倍増量!)

technique_6
「今回は、ちょっとタイトルと内容が噛み合っていないんじゃない?」

という声が耳に入ると、ついつい書く手が止まってしまいがち。。。。

みたいな感性が、自分の中に殆ど見当たらないタプアヴォイスアカデミー・オーナーの牧野です。

 

前編に続き、後編も歯に衣を着せることも忘れた感、満載で、実例も含めてお話ししていきますね。
ここ前編はこちらからどうぞ>

『カラダが自分の扱う楽器』
と言いましたが、まだ漠然としたイメージにしか捉えられないかもしれないので、前編のおさらいをしておきます。

 

「声はどうやって作られるのか?」
を正しく理解すればもう少し明確なイメージになると思います。


声が出る仕組みは、まずノド(喉頭部:Voice box)の中にある声帯に息を吹き付けることで振動音を出します。この時点ではまだ「小さな振動音」でしかなく声とは言えません。その振動音が咽頭腔、鼻腔、(場合によって胸部)などで共鳴し口腔内の形状での共鳴と相まって「声(言語)」として口から発せられます。


稚拙な例えで説明すると、

スイッチを入れた電動歯ブラシの振動音だけでは小さな音ですが、それをそのまま空のバケツに放り込んだらどうなるでしょう?

うるさくて、周囲に迷惑がられます(笑)。

バカバカしい例えかもしれませんが、
「振動音=電動歯ブラシ」と「共鳴音=空のバケツ」と考えればご理解頂けると思います。

つまり「声帯の振動音だけでなく共鳴音をいかに膨らませるか?」ということに意識を向けることが「音量・音圧」をアップさせるポイントになるのです。
少しは『カラダが楽器』のイメージはクリアになったでしょうか?

 

さて、ここから後編の本筋に入ります。

ボイストレーニングを真剣に受けた事がある人ならわかると思いますが、トレーニング後に若干の疲労感を感じる時があるはずです。
または、うっすら汗ばむという経験をした人もいるかも知れません。

実はそれは正常であり、ちゃんとした発声のトレーニングであれば当然のことです。

【実例:その1】
例えば、よく皆さんから教えてほしいと質問される「腹式呼吸」
(もちろん、発声をする際の腹式呼吸と呼ばれる呼吸の場合です。発声の呼吸に関しての話題はまたの機会に)

レッスンの中で実際に「こうやってみて下さい」とやり方をレクチャーしてみると初めての生徒さんの殆どの方が

「お尻の筋肉にチカラ入るんですがいいんですか?」
「ちょっと足腰がダルくなってきました」
「以外に体力いるんですね」

というような感想を口にされます。
この経験した方は、
「声を出す」という事はノドだけでなく下半身も含めた全身を使う行為
だと実体験で分かっていただけます。

だからこそ、日々のトレーニングの質とメンテナンスに関しても「ノド」の調子だけを整えれば良いわけではないという事なのです。

まさに、カラダが資本です!

 

ここでまた、私が経験した実例をご紹介します。

【実例:その2】
まだ私がボイストレーナーとして駆け出しの頃、ある男性生徒さんがいまして、その方はハードロック系バンドのボーカルでした。

その方の悩みは

・声が細い
・バンドの音に声が埋もれる
・スタジオリハの段階でも息が上がりやすく音程がフラットする

ということでした。

もともと良い声をお持ちな上に、非常に真面目な方で、レッスン後の反復練習も怠ることもなく、1〜2ヶ月ほどでそれなりに成果は出ていました。
でも、どうしても声の細さ、ハードロックに必要なパワフルな声が出し切れなかった。
体型も非常に細く、顔色も常に青白い感じで、如何にも体力不足という状態でした。

そこで私がアドバイスしたことは

『スイミングとかやってみたら?ハードロックは普通以上に体力あった方がいいし!』

ということでした。

その場の彼は「そうですかね〜?」というようなお愛想全開な返答でしたが、真面目な性格ゆえに、早速翌週にはスイミングスクールに通い始めました。

スイミングコーチの指導のもと週2〜3回ペースで泳ぎ始め、カラダのメンテナンスの重要性にも気づき、食事内容も見直しました。

そして、その結果、
たった1ヶ月ほどで別人かと思うほどパワフルな声に変わり、
彼は自分の発声の弱点をほぼ克服したのです。

もちろん、彼の結果の早さと度合いは彼個人の結果であり、すべての方に当てはまるものではないと思います。

しかし、この実例と同様なエピソードは、少なくとも私のレッスン歴の中に数え切れないほどあります。

シンガーの皆さんに押さえて頂きたいポイントは

『カラダの状態は発声の質にダイレクトに関わってくる』

という事実です。

 

もし、あなたが
「もっと歌うときの息が続くようにしたい(息苦しさを無くしたい)」
「もっと声量(音量・音圧)を出せるようになりたい」

という場合、根本的に呼吸が浅い事が多いのです。
肺活量の大小というよりも呼吸する為の動きが小さいのだと思います。

客観的に改善策を考えるのであれば、
ボイストレーニングのレッスン以外に、

・呼吸器系を鍛えるフィジカルトレーニングをする必要があるかもしれません。
・カラダ全身のメンテナンスという意味で睡眠不足を解消することも有効かもしれません。
・肩や首、アゴの凝りをほぐす事が有効かもしれません。
・食習慣の改善も必要かもしれません。

このように改善策の例を挙げると、まるで「アスリート」に向けての内容みたいですよね。

実は、それが正解です!

カラダを使うことは全てそう考えるほうが正しいのです。

 

ミュージシャン達(楽器陣)はみんな自分の楽器を大切に扱い、「上手い」とされるミュージシャンは楽器だけでなく周辺機器の状態までこだわります。
シンガーがノドを含むカラダ全体の状態にこだわる事は別に不思議なことではないのです。

シンガー(ボーカリスト)は
ノドを含めカラダ全体を楽器として
『如何に大事に扱い、理にかなった日常的な反復練習でどう鍛え続けるか』
この姿勢が
「周囲から頭一つ抜きん出たシンガー」
「ミュージシャンを味方につけるシンガー」

になれる大切なポイントです。

シンガー(ボーカル)もキーボード、ギター、サックスと同様に音楽を構成する一つのパートなのだと、
シンガー側もミュージシャン側も互いに認識すれば素晴らしい楽曲や演奏が生み出されます。

そして、シンガーであるあなたが
『カラダという楽器を上手く演奏しよう』
という努力をしていれば、
「おい、ボーカル!歌が聴こえて来ねーぞ!もっとしっかり声出せよ!」
みたいな短絡的なシンガーへの無謀要求はなくなり、
「シンガー vs ミュージシャン」というような稚拙な関係性もなくなると思います。(笑)

ボーカリスト、シンガーの皆さんには
是非ともスペアが無い自分という楽器を奏法を間違えずに日々大切に扱ってほしいと思います。

タプアヴォイスアカデミー
Takayoshi Makino


体験レッスンのお申し込みはこちら